
外国人雇用は整備業界における人材確保の重要な選択肢となっています。
しかし、2025年以降、日本政府は外国人受け入れ制度の見直しを本格化させる予定です。
特に「特定技能制度の運用改善」や新制度「育成就労」の導入など、整備工場にとって実務レベルで影響の大きい変更が控えています。
これらの制度改正にどう備えるべきか、最新動向と実務対応のポイントを詳しく解説します。
この記事で分かること。
- 2025年以降に予定されている外国人雇用制度の改正内容
- 整備業界に与える具体的な影響
- 制度変更に向けて企業が準備すべき対応策
2025年の制度変更の要点
2025年以降、日本政府は外国人労働者の受け入れ制度に関する抜本的な見直しを段階的に進める方針を示しています。特に注目すべきは以下の2点です。
特定技能制度の運用改善
特定技能制度は、深刻な人手不足を背景に2019年に導入された制度で、現時点では12分野において外国人労働者の受け入れが認められています。
整備業界も対象分野の一つであり、多くの企業がこの制度を活用し始めています。そして、2025年以降、政府はこの制度の「運用改善」に取り組むと発表しています。
主な改善点は以下のとおりです。
・特定技能2号の対象分野の拡大と移行支援の強化
特定技能1号の外国人がより円滑に2号へ移行できるよう、試験制度の簡素化や実務経験の認定基準が見直される予定です。
・支援体制の強化
受け入れ企業に対して求められる支援体制(生活支援・相談体制など)について、ガイドラインの明確化とモニタリングの厳格化が検討されています。
関連情報:受け入れ後の支援体制
・在留管理の効率化とマッチング支援の拡充
デジタル技術を活用して、労働者と企業のミスマッチを防ぐ仕組みの導入が進められています。
これらの変更は、制度の信頼性と実効性を高め、外国人労働者がより長期的に安心して働ける環境を整えるためです。
育成就労制度の創設
「育成就労制度」は、これまでの技能実習制度を抜本的に見直し、新たな人材育成型制度として導入される予定の制度です。
政府は2025年の通常国会で関連法案を提出し、早ければ2027年ごろからの本格施行を目指しています。
この制度は、以下の特徴を持ちます。
・目的の明確化
人材育成と産業人材確保の両立
技能実習制度では「国際貢献」としての側面が強調されていましたが、育成就労では「人材育成」を軸に、より実践的な就労とスキルアップを目的としています。
・制度移行の可能性
育成就労の3年間を修了した外国人は、特定技能1号に円滑に移行できるよう設計されており、キャリアパスが明確になります。
・転籍の柔軟化と労働者保護の強化
一定の条件下での転籍が可能になる見込みで、労働者にとってより柔軟な就労環境が整備されると期待されています。
整備業界にとっては、新たな人材獲得の手段として注目される制度です。
整備業界に与える影響と対応策
上記の制度変更は、整備業界にとっていくつかのインパクトをもたらします。
制度の複雑化と運用負担の増加
育成就労と特定技能の2制度が並行して運用されることになれば、制度理解や書類手続き、支援義務の把握など、企業側の負担が増加する可能性があります。
具体的な施策を以下に示します。
・外国人雇用の専門家や登録支援機関との連携強化
・社内に制度対応担当者を配置するなど、内部体制の整備
人材確保の選択肢拡大
一方で、制度の柔軟化は中小の整備工場にとっても人材確保のチャンスです。特定技能だけでなく、育成就労を活用した採用活動も視野に入れるべきです。
具体的な施策は以下のとおりです。
・制度ごとの特徴やメリット・デメリットを整理し、自社に最適なルートを選定
・受け入れ後の教育・支援体制をあらかじめ整備しておく
自動車整備工場が今からできる準備とは?

今後の制度改正を見据え、整備業界の企業が今からできる具体的な準備を以下にまとめます。
情報収集と制度理解
まず重要なのは、制度の変更内容やスケジュールを正確に把握することです。例えば、出入国在留管理庁や厚生労働省が発表する「特定技能制度」や「育成就労制度」に関する通知やガイドラインを継続的にチェックすることが必要です。
情報収集には以下の方法があります。
・出入国在留管理庁の公式サイトや報道資料の定期確認
・技能実習・特定技能に関する業界団体のセミナー参加
・外国人雇用支援会社からの最新情報の取得
社内体制の見直しと整備
新制度では、単なる雇用受け入れではなく、職場環境や教育支援体制の整備が求められます。企業として以下のような体制を整えておくと安心です。
・教育担当者の選任(リーダー制度やメンター制度の導入)
・外国人向けにやさしい日本語・母国語を交えた指導方法の検討
・外国人スタッフが定着するための生活面の支援(住居、地域との連携、相談窓口)
また、外国人材のキャリアアップを見据えた取り組みも、制度変更後はますます重要になります。中長期雇用を見越して、「特定技能2号」への移行を前提としたスキルアップ支援や、日本語教育支援を組み込む企業も増えてきています。
中長期的な採用戦略の見直し
制度の見直しに伴い、外国人材の雇用は「短期的な労働力確保」から「中長期的な人材育成」へと移行しつつあります。そのため、企業は今後の人材戦略において、以下の2点を意識する必要があります。
育成就労 → 特定技能という新ルートを見据える
これまで外国人整備士の受け入れは「技能実習」によるもの、または「特定技能」によるものという流れが主流でした。しかし今後、技能実習制度が廃止され「育成就労制度」に移行することで、「育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号」という新たなキャリアルートが登場します。
この流れは、企業にとって外国人材を5年・10年といったスパンで育てていくチャンスであり、従来のような短期的雇用とは大きく異なります。将来のリーダー候補として、入社時点から長期的なキャリアを描かせることで、モチベーションの向上と定着率アップにつながります。
長期雇用を前提とした育成方針の再構築
そのためには、企業側も「長期雇用を前提とした教育方針・制度設計」を整備する必要があります。
例えば、次のような支援が有効です。
・キャリアパスの提示(例:3年後に班長、5年後にリーダー)
・資格取得支援制度の導入(整備士資格・日本語能力試験など)
・外国人向け人事評価制度の導入
・異文化理解研修を含むチームマネジメントの見直し
こうした中長期視点での育成が、制度変更後の新たなスタンダードになる可能性があります。外国人材を「戦力として育てる」ことが、整備業界の人手不足を根本から改善する鍵となります。
まとめ:制度変更をチャンスに変える
2025年以降、外国人雇用制度は大きな転換期を迎えます。
技能実習制度に代わる「育成就労制度」の創設、そして特定技能制度の運用改善は、整備業界における外国人材の位置付けを根本から変える可能性を持っています。
これまでのように「短期間の労働力補充」としての外国人雇用ではなく、今後は「長期的な戦力育成」を前提とした採用・教育が求められます。
特に、「育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号」というルートが整備されることで、外国人材が自動車整備の現場でキャリアを築き、将来は現場リーダーや指導者として活躍する道が開かれます。
制度変更に伴う詳細な運用ルールは今後順次明らかになりますが、企業としては早期に方針を定め、「制度変更に左右されない育成基盤の整備」を進めることが重要です。
制度が変わること自体は企業にとって負担となる可能性もありますが、見方を変えれば自社の採用力・定着力を高める好機とも言えます。
外国人材を「雇用する」から「育てる」へと意識を切り替え、中長期的に活躍できる人材とともに歩む体制を整えることが、制度変更後に生き残る整備工場の条件となるでしょう。
関連情報:整備士の外国人雇用制度を徹底解説|技能実習・特定技能の違いと活用ポイント








