【はじめに】
自動車整備業界に眠る多くのビジネスチャンス
整備士の高齢化や担い手不足、ユーザーの車離れなどの理由から自動車整備業界は「斜陽産業」であると言われることがあります。事実、個人の自動車保有台数は減少しており、カーボンニュートラルに向けた取り組み、自動運転やEVに代表されるような次世代車の普及など、自動車整備業界を取り巻く環境は年々変化しています。
しかし、それは市場に巻き起こっている「需要の変化」に過ぎないのではないでしょうか。自動車整備事業者として10年先を見据えた事業展開をしていくためには、業界内にどのような変化が起こっているかを正確に把握し、自社の業務方法をアップデートしていく必要があります。
本稿の内容は、公知情報の調査や複数の整備事業者へのヒアリングを行うことで、見えてきた課題やビジネスチャンスを発信しているビズピットのコーポレートサイト掲載ブログの内容を再編集したものです。現在の日本における自動車整備業界の現状を踏まえ、整備事業者が業界内外の現状や今後の展望を把握し、対応していくための方法について論考していきます。
前半で「自動車整備事業者に関わる変化」について解説し、後半で「その変化への対応」を提案しますので、整備事業者の皆さまの今後の事業展開の参考になれば幸いです。
目次
【自動車整備事業者に関わる変化】
1. 業界の変化
1.1 整備士の人材不足
1.2 整備売上の減少
1.2.1 ASVの普及による事故整備の売上減少
1.2.2 自動車の電動化による機械整備の売上減少
1.3 整備業務の高度化
1.3.1 OBD点検の義務化とOBD検査のスタート
1.4 新たな認証制度
1.4.1 テュフ認証に見る今後の整備業界の“お墨付き”の可能性
2. 技術の変化
2.1 MaaSの進展
2.1.1 MaaSの5段階の普及レベル
2.1.2 MaaSが社会にもたらすメリット
2.2 EVの普及
2.2.1 今後の普及が見込まれるEV充電施設
2.3 ITの発達
2.3.1 エーミング用スキャンツールの発展
2.3.2 車検証のICカード化
2.3.3 車検証のICカード化後の車検業務
2.3.4 AR技術を使ったツールの開発
3. 社会の変化
3.1 カーボンニュートラルへ向けた取り組み
3.1.1 脱炭素社会を目指す「国土交通グリーンチャレンジ」
3.2 人口分布の推移
3.2.1 都市部の自動車整備事業者に起こり得る変化
3.2.2 郊外の自動車整備事業者に起こり得る変化
4. 経済の変化
4.1 今後の中古車市場
4.2 コロナ禍を踏まえた輸出車市場
4.3 新たな損害保険損保商品の登場
4.3.1 自動運転社会で登場が予想される保険商品
【今後に向けた自動車整備事業者の対応】
5. ステージ1:事業運営方法の改善
5.1 情報の電子化
5.1.1 情報を電子化する際に把握しておくべきルール
5.2 顧客管理
5.2.1 顧客管理で必要なツール
5.3 商圏分析
5.4 顧客・商圏データを活用したエリアマーケティング
6. ステージ2:事業リソースの確保
6.1 外国人材の活用
6.1.1 外国人技能実習生の受け入れ
6.1.2 特定技能制度の活用
6.2 シニア人材の再雇用
6.2.1 就業意欲のあるシニア層の増加
6.2.2 整備業界におけるシニア活用
6.2.3 シニア層の整備士が活躍する上での課題
6.3 自動車整備市場における社外パートナーとの連携
6.4 整備場の省エネ化による経費削減
7. ステージ3:新規事業の創出
7.1 新規ビジネスの開発
7.2 他業種との協業
【総括】
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