
外国人整備士の採用を考えているけど、在留資格についてよく分からない…
そうした悩みを抱えている整備工場経営者の方も多いのではないでしょうか。
外国人が整備士として働ける在留資格は複数あり、それぞれの条件や活用方法が異なります。
この機会に、外国人の在留資格について、しっかり確認しましょう。
この記事で分かること
- 在留資格とは何なのか
- 整備士が対象となる在留資格の種類
- 在留資格取得の条件と手続き
- どの資格が自社に合っているのか?
在留資格とは
在留資格とは、外国人が日本に滞在し活動するために必要な法的資格で、外国人労働者を雇用するためには、経営者が必ず把握しなければならない重要な資格です。
日本では外国人が国内で働いたり生活したりする際には、必ず何らかの在留資格を取得しなければなりません。特に中小規模の整備工場で外国人労働者を雇用する場合、適切な在留資格を持った人材でなければ、雇用主側にも法律違反のリスクが生じます。
例えば、自動車整備業務に従事する外国人には、「外国人技能実習制度」や「特定技能制度」など、国の制度にのっとり、その業務内容に即した在留資格が必要です。この資格が無いと、作業を行わせること自体が不法となり、罰則対象となってしまいます。
日本で就労する資格を持っていない外国人が日本で働く、いわゆる「不法就労」は、出入国在留管理庁の統計から、数万人規模で存在すると考えられています。
このことは、外国人本人だけでなく、その外国人を雇用した企業側も罰則の対象となる重大な問題です。
自社で外国人を雇用する際には、「どの在留資格が必要か」「現状の従業員が持っている資格が適切か」を必ず確認する必要があります。在留資格を正しく理解し管理していくことが、安定した経営と法令遵守を両立するための第一歩です。
整備士が対象となる在留資格の種類
特定技能(1号・2号)
2019年に創設された「特定技能制度」は、特に人手不足が深刻な14分野を対象に導入された制度で、自動車整備業もその一つに含まれています。
この資格では、即戦力となる外国人材が、日本語と技術の両方の能力を備えていることが求められます。
- 在留期間:最長5年(1号)一定の条件を満たし、「特定技能2号」に移行することで無期限の在留も可能
- 日本語能力:日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストの合格が必要
- 技能試験:自動車整備分野の技能評価試験(学科+実技)に合格する必要あり
例として、東京都内の整備工場では、特定技能で受け入れたベトナム人スタッフが3カ月以内に即戦力として現場対応を行い、顧客満足度の向上に寄与したという実績があります。
さらに、入社半年後には後輩実習生への技術指導も任されるなど、組織の戦力として定着しています。
特定技能制度はこのような企業に向いています。
- 現場で即戦力として働ける人材が欲しい
- 中長期的な戦力として育成したい
技能実習
技能実習制度は、開発途上国への技術移転を目的として設けられた制度であり、「国際貢献」の側面が強い制度です。
そのため、実習生は期間満了後に母国へ帰国することが前提となっているため、滞在期間が特定技能制度より短いという特徴があります。
- 在留期間:最長5年(技能実習1号:1年、2号:2年、3号:2年)
- 受け入れ方法:監理団体を通して受け入れる必要あり
- 転職:原則として不可
- 日本語要件:特に必要なし。ただし、事前研修で日本語を学習するケースが多い
技能実習は、人材コストを抑えつつ、長期的な育成を見据えて活用されることが多いです。
九州のある整備工場では、技能実習生を3年かけて育成し、最終年にはベテラン整備士と同等の作業ができるまでに成長させた事例もあります。
また、外国人実習生が母国で整備士として起業した例もあり、技術移転の成功例として注目されています。
技能実習制度はこんな企業に向いています。
- 低コストで人材を確保したい
基本的には、企業側には特定技能制度の方が使い勝手が良いため、近年は新しくできた特定技能制度の活用が進んでいます。
関連情報:技能実習制度とは?整備業界での活用事例と注意点を解説
在留資格取得の条件と手続き

整備士として外国人を雇用するには、まず該当する在留資格に対応した条件を満たす必要があります。
基本的な手続きの流れは以下のとおりです。
- 雇用契約の締結(労働条件を明記)
- 在留資格認定証明書の申請(法務省管轄)
- 管轄入国管理局への提出・審査
- 審査通過後、在留資格認定証明書交付
- 外国人本人が海外の日本大使館・領事館で査証(ビザ)申請
また、添付すべき書類には以下が含まれます。
- 雇用契約書
- 勤務先の会社概要資料
- 日本語能力試験や技能試験の合格証明書(該当資格のみ)
- 雇用理由書
審査期間は1カ月〜3カ月程度とされており、繁忙期にはそれ以上かかることもあります。
時間的余裕をもって準備を進めましょう。
「特定技能」や「技能実習」のいずれの制度を利用する場合でも、試験の受験や受け入れ体制など複雑な準備が必要となるため、専門機関や専門家への相談が必須と言えるかもしれません。
どの資格が自社に合っているか?
それぞれの在留資格には、目的や活用方法が異なります。以下に2つの制度(資格)の違いをまとめた表を掲載します。
| 在留資格 | 制度の目的 | 雇用期間 |
| 特定技能 | 人手不足の分野で、即戦力となる外国人材を 受け入れるための制度。 | 5年(2号なら無期限) |
| 技能実習 | 開発途上国への技能移転と人材育成を通じて、 国際貢献を目的とする制度。 | 最長5年 |
選び方のポイント
- これまでは、「外国人技能実習制度」の利用が圧倒的に多い
- 「外国人技能実習制度」は国際貢献が目的であり、単純作業をさせてはいけないなど、多くのルールがある
- 多くの企業が、新たな「特定技能制度」の利用に移行している
- 「特定技能制度」は、現状では実績がある企業や業者が少なく、全体的にノウハウの蓄積がまだ少ない
企業によって採用目的や人材育成方針は異なるため、どの在留資格が最適かは慎重な判断が必要ですが、一般的には特定技能制度の方が企業にとってメリットが多くあります。
いずれにしても、2つの制度を比較検討し、専門家に相談し、場合によっては併用するのも一つの戦略です。
まとめ|最適な在留資格を選んで外国人雇用を成功させよう
整備士として外国人を採用する場合、主に以下2つの在留資格が活用できます。
- 特定技能:即戦力となる人材を中長期的に雇用可能。技能試験と日本語能力の証明が必要。
- 技能実習:育成目的で、将来的に帰国を前提とした制度。仕事(作業)の内容などにも制限がある。
雇用の目的や人材のスキルに応じて、適切な在留資格を選ぶことが、外国人雇用成功の第一歩です。また、制度は改正されるため、常に最新情報を確認することも忘れてはいけません。
さらに、登録支援機関や監理団体との連携、専門家への相談を通じて、スムーズな受け入れ体制を構築することが、企業側の負担軽減にもつながります。
手続きには十分な準備と計画が求められるため、専門家や登録支援機関のサポートを活用することが有効です。
関連情報:外国人整備士雇用の基礎知識









