
「整備士の採用がどんどん難しくなっている…」
そうした課題を抱えている整備工場の経営者の方も多いのではないでしょうか?日本の自動車整備業界では深刻な人材不足が続いており、外国人雇用が現実的な選択肢として注目を集めています。
本記事では、整備業界の現状と未来を見据え、外国人雇用が求められる理由を詳しく解説します。
■ この記事で分かること
- 整備業界が抱える人材不足の現状
- 外国人整備士の注目度が高まる理由
- 今後の市場動向と整備工場の対応策
整備業界が抱える人材不足の現状
整備士の人材不足と高齢化
近年、日本の自動車整備業界では、深刻な人材不足が続いています。
その一因となっているのが、若年層の整備士志望者の減少です。
専門学校や高等学校での整備士コースの入学者数は減少の一途をたどっており、国土交通省の資料※1によると、自動車整備士専門学校の入学者数は18年で、約半減(12,394人→6,536人)しています。
若者の流入を妨げている要因には以下のものがあると言われています。
- 重労働・汚れ仕事のイメージが根強い
- 労働条件や待遇の悪さ
- キャリアパスの不透明さ
そして、若年層の整備士志望者が減少した結果、整備士の高齢化が進んでいます。
自動車特定整備実態調査※2によると、令和6年時点の整備士の平均年齢は47.4歳で、全職種の平均年齢を大きく上回っています。
さらに、整備士の約40%が50歳以上を占めている事実から、若年層が減少し高齢化が進む自動車整備業界の新陳代謝が、著しく鈍化していることが分かります。
そして、この傾向は今後さらに加速していくものと予測されています。
他にも、人材不足の背景には、少子高齢化や職業選択の多様化、若年層の業界離れ、新技術への対応など、さまざまな要因が絡み合っており、単一の解決策では対応が難しい状況に陥っています。
求人倍率の上昇と採用の難化
整備士の採用難はすでに深刻な状況に達しています。
自動車整備士の有効求人倍率は上昇傾向が続き、令和7年現在、約5倍で推移(厚生労働省「職業情報提供サイト jobtag」※3)しています。
この数字は、全職種平均の約1.3倍を大きく上回る深刻な水準で、整備士の人材確保が極めて難しい状況であることが分かります。
求人倍率の比較
| 職種 | 有効求人倍率 |
| 自動車整備士 | 約5倍 |
| 全職種平均 | 約1.3倍 |
特に地方や中小規模の整備工場では、都市部の大手ディーラーと比べて待遇・知名度の面で不利となり、採用競争は激化しています。
そして、採用活動の期間は長期化し、採用コストも上昇しています。
現状では、多くの整備工場が採用に苦慮しており、「求人を出しても応募がない」「経験者がなかなか来ない」「若手が定着しない」といった課題に直面しています。
整備業界は、深刻な採用難に直面しており、他業界と比較しても、最も採用が困難な職種となっています。
外国人整備士の注目度が高まる4つの理由

近年、中小規模の整備工場において、外国人整備士への注目が急速に高まっています。これは、単なる一過性のトレンドではなく、現在の自動車整備業界が抱える構造的な課題と、外国人材が持つ潜在的な可能性が背景にあるからです。
人材不足の深刻化と労働力の確保
国内における整備士不足は深刻な状況にあり、これが最も大きな課題として挙げられます。
少子高齢化の進行に伴い、若年層の労働人口が減少の一途をたどり、整備士を目指す人材も不足しています。
このような状況下で、即戦力となる労働力を確保するためには、海外に目を向けることが不可欠です。特にアジアを中心とした多くの開発途上国では人口が増加傾向にあり、豊富な労働力が存在します。また、日本での就労や生活に対する人気が高く、日本全体の労働力確保にもつながる可能性があります。
多様化する顧客ニーズとサービス品質の向上
自動車の多様化と顧客ニーズの変化も、外国人整備士の需要を高める要因です。
輸入車の増加やEV(電気自動車)などの新技術の普及により、整備に求められる知識や技術も多様化しています。外国人整備士の中には、本国でさまざまな車種や技術に触れてきた経験を持つ人材も多く、彼らの専門知識やスキルは、多様な顧客ニーズに対応し、工場全体のサービス品質を向上させる上で大きな強みとなります。
また、海外からの観光客や在住外国人が増える中で、多言語対応が可能な外国人整備士は、顧客満足度を高める上でも貢献が期待できます。
コスト削減と新たな価値創造の可能性
外国人の活用は、採用コストの抑制と新たな価値創造の可能性も挙げられます。
国内人材の早期離職や採用が困難を極める中で、外国人材の活用は、採用活動にかかる時間や費用を削減する効果も期待できます。もちろん、外国人材の受け入れには、ビザの取得や生活支援など、初期投資が必要な側面もありますが、一定期間の雇用が可能であり、長期的に見れば、安定した労働力の確保と事業拡大につながる可能性があります。
また、異文化を持つ人材が加わることで、工場内に新たな視点やアイデアがもたらされ、業務改善やサービス開発といった新たな価値創造につながることも少なくありません。
制度の拡充
そして、外国人整備士への注目度をさらに高めているのが、政府による外国人材の受け入れ制度の拡充です。
特定技能制度の創設や、技能実習制度における対象職種の拡大など、外国人材が日本で働きやすくなる環境が整備されてきました。自動車整備分野においても、特定技能2号の対象となり、熟練した技能を持つ外国人材が長期的に日本で働く道が開かれたことで、より安定した労働力の確保が可能になりました。
この制度により、企業側も安心して外国人材を受け入れ、育成していくことが容易になっています。これらの制度の拡充は、人手不足に悩む整備工場にとって、外国人材の活用を現実的な選択肢とする大きな要因です。
このように、外国人整備士への注目が高まっているのは、国内の整備士不足という喫緊の課題への対応だけでなく、多様な技術への対応、顧客サービスの向上、そして将来的な事業の発展を見据えた、極めて合理的な経営判断であると言えます。外国人材の活用は、中小規模の整備工場が持続的に成長していくための重要な鍵となるでしょう。
貴社の工場でも、外国人整備士の採用について検討してみてはいかがでしょうか。
今後の市場動向と整備工場の対応策
制度の変化にどう対応するか?
近年の制度変更により、外国人整備士の活用に対して大きな期待が寄せられています。
- 技能実習から特定技能への移行を活用し、長期的な人材活用が可能になる
- 「特定技能2号」の整備分野適用による、永住に近い人材定着の仕組みが期待される
外国人の受け入れ制度は、今後も政府の方針によって拡充されていく見込みです。
整備工場としては、制度変化に対応するため、外部パートナーや行政と連携し、最新の法制度情報を把握し続ける体制作りが重要です。
こうした制度の変化に柔軟に対応できる企業ほど、今後の採用・育成で優位に立てるでしょう。
先手を打つ整備工場の特徴とは?
すでに外国人整備士を積極的に受け入れている工場には、共通する成功要素があります。
成功している整備工場の特徴としては以下のとおりです。
- 外国人向けの教育体制(日本語研修、技能指導マニュアルなど)を整備
- 受け入れ後の定着支援(住居紹介・生活指導など)を整備
- 登録支援機関と連携し、生活支援・書類管理などをアウトソース
- (助成金を活用した)マニュアルの多言語化など職場環境の工夫
このように、単なる「人手不足対策」としてではなく、戦略的に外国人材を活用している企業が成果を出しています。
これらの事例を参考に、早期に外国人採用のノウハウを習得することが、これからの時代には不可欠です。
まとめ|外国人雇用は整備業界の未来を支える鍵
日本の整備業界は、かつてないほどの人材難に直面しています。
整備士の人材不足が深刻化する中、外国人の雇用は避けて通れない選択肢 となっています。
若手人材の確保が難しくなっている今、外国人雇用は「非常手段」ではなく、「未来への投資」であると言えるでしょう。
その中で、外国人雇用は“補完的”ではなく“戦略的”な選択肢として、多くの整備工場で注目されています。
整備工場の持続的な経営を確かなものにするためには、将来の安定と技術継承を見据え、外国人材の雇用を積極的に検討することが重要です。
特定技能制度の拡充や、他業界での成功事例を踏まえつつ、貴社の人材戦略を見直していきましょう。
関連情報:外国人整備士雇用の基礎知識はこちら
【引用】
※1
国土交通省_自動車整備分野における人材確保に係る取組(令和6年3月1日)
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001729973.pdf
※2
一般社団法人日本自動車整備振興会連合会_自動車特定整備業実態調査結果概要(令和6年度日整連発行)
https://www.jaspa.or.jp/member/data/whitepaper.html
※3
厚生労働省_職業情報提供サイトjobtag
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/








