2021年現在、車両整備業界へIT導入を推進している企業とは?

昨今、自動車市場において、さまざまな企業が新しい形のビジネスモデルを提供しはじめています。本稿では、車両整備事業者の方に向け、自動車市場にITを活用したソリューションを提供している企業とビジネスモデルについてご紹介します。

自動運転車・EV車の普及などにより、今後車両整備業務はますます高度化すると予想されます。車両整備事業者の皆様にとっても、マーケットに変革をもたらす可能性がある最新技術を把握しておくことで、変化していく車両整備業務により柔軟に対応できるでしょう。

【目次】
1 カーサービス業者向けの業務支援システムを販売する「ブロードリーフ」
2 自宅まで車両の出張整備サービスを提供する「Seibii(セイビー)」
3 AIで車両整備業界にDX化をもたらす「timy」と「LINE AiCall」の連携
4 自動車市場全般のオートメーション化を推進する「ファーストグループ」
5 車両整備士のための診断情報検索システムを提供する「MechanicBoard」
6 IT企業のソリューションを活用することにより車両整備事業者は何ができるようになる?
 6-1 さらに高度な車両整備業務に備える
 6-2 他業種と協業を行い新たなビジネス展開を行う
7 まとめ

カーサービス業者向けの業務支援システムを販売する「ブロードリーフ」

株式会社ブロードリーフ
画像出典:株式会社ブロードリーフ

株式会社ブロードリーフは、自動車整備業・板金業・車両販売業などの自動車市場向けに、ITソリューションを活用した業務支援システムを提供している企業です(※1)。

整備業向けのソリューションとしては、インターネット上で顧客管理や書類作成ができるクラウド型自動車整備業務支援システム「Maintenance.c」や、伝票を発行するたびにAIが学習して最適な部品候補を提案してくれるる自動車整備ネットワークシステム「SF.NS3Ai」などがあります。

他にも、指定整備工場の車検業務効率化をサポートするシステムや、車検・点検業務のペーパーレス化のためのタブレット導入サービスなどを提供しています。

普段の整備業務において、アナログで行っていた業務をデジタルに置き換えることで、大きな業務効率化マンパワーの削減に繋がるでしょう。

自宅まで車両の出張整備サービスを提供する「Seibii(セイビー)」

Seibii
画像出典:Seibii

株式会社Seibiiは、車の出張修理・点検サービスのポータルサイト「Seibii(セイビー)」の運営を行っています(※2)。

「Seibii(セイビー)」ではネットによる予約受付ができます。ユーザーはスマホやパソコンから希望の整備メニューと住所を入力するだけでカレンダー上の空きを確認でき、そのままシームレスに予約が可能です。

また、「Seibii(セイビー)」では請求費用の決定方法に、オンライン診断による事前見積もりを導入しています。前もって作業内容と整備費用がわかるため、ユーザーにとっては安心感のあるサービスと言えるでしょう。

Seibiiのようなプラットフォーム事業は、車両整備業務を行う方には新しい事業として参考になるのではないでしょうか。

AIで車両整備業界にDX化をもたらす「timy」と「LINE AiCall」の連携

timy
画像出典:timy

株式会社会社カーフロンティアが運営している車両整備予約サービスの「timy(タイミー)」は、2020年10月にLINE CLOVAが提供するAIによる音声応対サービスの「LINE AiCall」との連携を発表しました(※3)。

Webを使って車両オーナーが整備を予約できるのが、従来のtimyの仕組みです。しかし、「メインの顧客である中高年層は直接の来店が多い」「整備事業者側のオンライン化によるシステム導入もあまり進まない」という課題がありました。

「timy(タイミー)」と「LINE AiCall」との提携により、整備業者側にかかってきた電話をAIが受け、「timy(タイミー)」の予約状況を判断・応対することが可能となりました。これにより自動の予約受付が可能となり、「timy(タイミー)」がかねてより抱えていた問題の解消へと繋がっています。

この技術により、ITを苦手とする車両オーナーや整備自動車も「timy(タイミー)」を気軽に利用できるようになり、予約管理の自動化による業務効率の改善を図れるでしょう。

自動車市場全般のオートメーション化を推進する「ファーストグループ」

Camp
画像出典:Camp

株式会社ファーストグループは、オートメーション化の支援やビックデータの分析・活用など、自動車市場全般に関わる業務効率化の支援を行っている企業です(※4)。

ファーストグループの特徴的な取り組みとして、中小の車両に関わる事業者同士の連携をサポートする「CAMP」という企業連合があります(※5)。

「CAMP」は、異業種同士が互いの経営資産や関係構築による相乗効果を生み出すことを目的として運営されていて、立ち位置的にはBtoBの側面が強くなっています。「CAMP」にはBP業界・ロードサービス業界・車輌販売業界などの企業も参画可能で、全国各地の企業とノウハウや情報の共有を図ることができます。

車両整備士のための診断情報検索システムを提供する「MechanicBoard」

MechanicBoard
画像出典:MechanicBoard

MechanicBoard合同会社は、自動車故障事例を登録できるデータサーバを活用した車両整備に関する過去の診断情報の検索システムを提供しています(※6)。 スマートフォンなどを使ってこのシステムを活用すれば、現場の整備士は迅速な修理箇所の診断が可能になり、回転率の向上に繋がります。

MechanicBoardの検索システムには、2019年のリリース前時点で2万件以上の診断事例情報が登録されていました。全国から寄せられた希少な診断情報も参照可能(※7 )で、登録事例データは顧客が増えるごとに増える仕組みとなっています。

ベテラン整備士のノウハウにも簡単にアクセスできますので、新人整備士の育成やノウハウの継承にも役立つでしょう。

IT企業のソリューションを活用することにより車両整備事業者は何ができるようになる?

IT企業が提供しているソリューションを活用し、故障箇所診断作業や顧客管理、予約対応業務などを効率化すれば、整備事業者にとってはリソースの余裕ができることになります。

事業をさらに拡大するため、発生したリソースを別のことに充てたいと考えた場合は「さらに高度な整備業務に備える」「他業種と協業を行い新たなビジネス展開を行う」などの施策が考えられます。

さらに高度な車両整備業務に備える

令和2年4月に道路雲照車両法が改正(※8)、ASV(先進安全自動車)に搭載される電子制御装置を整備するエーミングなどの特定整備を行うためには、追加資格が必要になりました。さらに、今後は日本でもガソリン車に代わりEV車が普及していく流れが出来ていますので、車両整備業務も比例してますます複雑化していくでしょう。

普段の業務も行いつつ、車両整備業界のトレンドの変化に対応していくためには、ノウハウを蓄積したり、人材育成をしたりする必要があります。IT企業のソリューションを活用し、自社の業務を効率化すれば、次世代の整備業務に対しても余裕を持って準備ができる可能性が高まります。

>>特定整備の車両整備業界への影響とは【エーミング必須の時代】

他業種と協業を行い新たなビジネス展開を行う

今後日本では、温室効果ガス排出量を減らし、脱炭素化を目指すカーボンニュートラル(※9)に向けた取り組みが行われていきます。カーボンニュートラルを目指す中で「各種モビリティ・サービスを統合したMaaSの普及」「より歩行者を優先した都市構造への変化」など、大きな社会変容が起こり、車両の保有形態も変わっていく可能性があります。

車両整備事業者としても、そのような社会を見据えて新たなマーケットの開拓や新規ビジネスの創出が求められています。特に、様々な移動サービスを統合したMaaSは社会インフラの一端を担い、公共交通機関・不動産会社・保険会社・観光機関などのあらゆる業界が関わるのが特徴です。

そのため、車両整備事業者が新たなビジネスチャンスを見出すためには他業種との協業も視野に入れる必要性が考えられます。その際には、IT企業が提供しているサービスを活用するとより効率的になる可能性も高いでしょう。

>>将来を見据えた自動車整備・販売店の経営資源の有効活用方法

まとめ

ここまで、さまざまな企業が提供するソリューションの一例を紹介しました。いずれも導入することにより、整備業務に必要な診断のスピードアップや業務の自動化を叶えるものが多いです。

整備事業者としても、このようなソリューションを導入し業務効率化を行うことで、次世代の整備業務に備えることや、ビジネスチャンスの拡大に繋がる可能性もあるでしょう。

大阪・兵庫を中心に車両販売などを行なっているビズピット株式会社では、上記のような新たなソリューションの紹介を行っています。それだけでなく、企業同士を繋げより付加価値を生み出せるよう、自社としても業界を変革するような新規事業を展開していきます。ぜひご期待ください。



【引用】
※1
・株式会社ブロードリーフ
https://www.broadleaf.co.jp/

※2
・Seibii
https://seibii.co.jp/#features

※3
・Creatorzine
https://creatorzine.jp/news/detail/1437

※4
・ファーストグループ
https://firstgroup.jp/

※5
・Camp
https://camp.fstg.jp/

※6
・MechanicBoard
https://www.mechanic-board.com/

※7
・PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000051849.html

※8
・特定整備制度概要(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001332203.pdf

※9
・環境省
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

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