
企業の信用調査とは、取引先となる企業の信用度を評価するために実施する調査のことです。
これまで取引のない企業と取引を開始する場合や、融資の申込時などに、相手から信用調査の依頼がある場合があります。
相手企業は取引先自社の支払い能力や財務状況、経営状況などを把握することで、取引におけるリスクを最小限に抑え、円滑なビジネスを進めることを目的として行います。そして、新規取引を目的とした信用調査の場合は、調査を断ることが可能です。
この記事では、自動車整備工場が信用調査を受けるべき理由やデメリットについて解説し、さらに、信用調査の種類や調査の流れについて詳しく解説します。
信用調査について正しく理解し、整備工場の経営に生かしましょう。
自動車整備工場は信用調査を受けるべきか?
自動車整備工場は法人、特に大手企業と取引を考えている場合は信用調査を受けるべきです。なぜなら、信用調査を受けなければ取引自体がなくなってしまう可能性が高いからです。
信用調査は相手企業にとって、自社との取引にリスクがないか確認するための手段であり、信用調査を行うことで、相手企業は自社の経営状況や財務状況を確認することができ、安心して取引を行えます。
大手法人は契約先の信用情報をもとに取引の可否を判断することが一般的であるため、信用調査で良好な結果が出れば、新規取引のチャンスが広がることが期待できます。しかし、調査を拒否すると、相手企業は取引を行うべきかどうか判断するための情報を得られないため、取引の機会を逃してしまうリスクがあります。
したがって、相手企業と取引を希望する自動車整備工場は、積極的に信用調査を受けるべきです。
信用調査を受けるメリットとデメリット
信用調査を受けるメリット
・信頼性向上
取引先企業からの信用調査の場合、良好な結果が出ることで、評価が高まります。企業間の信頼性が強まることで、自動車整備の依頼を受けやすくなり、長期的な取引を確保することも期待できます。自動車整備工場は部品商から部品を仕入れたり、他の企業に修理を外注依頼することもあるため、その際の取引もスムーズに行いやすくなります。
・資金調達の支援
良好な信用調査の結果が出ると、銀行や金融機関からの融資を受けやすくなります。信用調査基準は金融機関の与信調査基準と類似しているため、会計観点での自社の経営成績を定量的に可視化します。良好な信用履歴が報告されると、健全な経営をしていることが証明できるためです。
・取引条件の改善
信用情報が良好であれば、これまでの取引における、取引条件や支払条件の改善が可能になる可能性があります。相手企業にとって自社に強い信用がある場合、条件を優遇してでも取引をしたいと思ってもらえる可能性があるためです。支払い条件の延長や価格交渉など、有利に進むことが期待できます。
・競争優位性の確立
良好な信用評価を維持することで、他の競合企業より有利な立場に立てる可能性があります。企業は新しい取引先(整備工場)を探す際に、より信用できる整備工場に依頼するため、信用調査の結果が良好な整備工場が優先的に選ばれることがあり、競争優位性を確立することが期待できます。
信用調査のデメリット
信用調査にはいくつかのデメリットがあります。信用調査を受けることで発生するデメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
・プライバシー侵害
信用調査を受けることで、調査会社が自社の財務状況や取引履歴などのデータを収集し、他の企業と情報を共有する場合があります。そのため、企業の内部情報が外部に漏れるリスクがあり、プライバシーが侵害される可能性があります。特に小規模な整備工場では、経営者個人の財務状況に近い情報が含まれることがあり、よりデリケートな情報となることもあります。
・信用スコアの悪化
信用調査の結果が芳しくない場合、信用スコアが低くなり、その情報が取引先や金融機関などに報告されてしまいます。信用スコアが低下すると、評価の回復に時間がかかるため、長期的な悪影響が出ることもあります。
・誤った情報
調査の方法などによっては信用調査の結果が正確でない場合があり、本来より低い評価を受けることがあります。その理由は誤りのある記録や、古いデータなどが反映される場合です。現在の状況と違う誤った情報が取引相手に報告されると、不適切な印象を与え、新規取引の機会を失う可能性もあります。
信用調査の種類
信用調査を行う方法として、「社内調査」「直接調査」「外部調査」「依頼調査」があります。
信用調査では、これらのいずれか、もしくは複数の方法が組み合わさった調査が実施されることが一般的です。それぞれの調査がどのような方法で行われるか解説します。
社内調査
社内調査とは、社内の情報で対象企業の調査を行うことです。対象企業とこれまで取引したことがあれば、取引履歴を確認することで信用情報を得られます。
社内調査は比較的コストが低く迅速に実施が可能ですが、実施企業が持つデータに依存するため情報の範囲が限られています。情報が古かったり、不十分だったりする可能性があるため、他の調査方法と組み合わせて実施されることが一般的です。
直接調査
直接調査とは、対象企業を訪問して直接情報を収集する方法です。訪問して経営者や担当者と直接面談を行うことで、情報を収集できます。会社の設備や現場の雰囲気、従業員の様子といった、訪問しないと確認できない企業の詳細まで、実際に目や耳で確認できます。
しかし、すでに訪問をしたことがある場合や、取引先が遠方にある場合は、電話やメール、FAXを利用して調査を行うこともあります。
外部調査
外部調査とは、調査企業以外から情報収集する方法です。外部の公開情報や第三者機関が提供するデータを利用して行います。
具体的な方法としては、商業登記簿や不動産登記簿などを取得する官公庁調査や、インターネットを利用する検索調査などがあります。また、企業データベースを活用した信用調査の方法もあります。国内最大規模の法人データベースLBCを元にした「ユーソナー」では、評点と要注意データベースを合わせて確認することで、簡易的な信用調査が可能です。
依頼調査
依頼調査とは、信用調査会社に調査を依頼する方法です。信用調査を専門とする会社が行うため、情報の正確性や網羅性が高く、信頼できる情報を得ることができます。
他の調査と比較すると調査にコストや時間がかかりますが、自社の調査では得られにくい詳細な情報を入手できます。
依頼調査の具体的な方法
依頼調査を受ける場合は、準備や情報提供といった対応が必要になります。依頼調査の進行における基本的な流れを解説します。
・準備
信用調査を受ける前に、代表者は企業の情報や財務データなどを整理して準備をします。準備を整えることで、信用調査会社が正確かつ効率的に調査を進めやすくなります。
・面談の開始
依頼調査では、はじめに信用調査会社の担当者と面談を行います。信用調査会社の担当者が企業の代表者に自己紹介を行い、面談の目的や手続きについて説明します。
・信用調査会社の説明
信用調査会社の担当者は、信用調査の手続きやプロセスについて詳細に説明します。説明には情報収集の方法、情報の利用目的、報告書の内容などが含まれます。これらを明確にし、お互いに合意をとることで安心して調査を進めることができます。
・質疑応答
信用調査会社の説明が終わったら、企業の代表者や信用調査会社の担当者がお互いに質問や疑問を投げかけます。これにより、情報の誤解や不明点を解消し、信用調査の進行をスムーズにします。ただし、機密情報や取引先への影響が懸念される内容については、回答を控えることもできます。
・企業情報の提供
信用調査会社に自社の情報を提供します。これには、自社の沿革、業務内容、財務状況、取引先情報、役員情報などが含まれます。
・フォローアップ
面談後、信用調査会社は情報収集や分析を行い、信用報告書を作成します。企業は報告書の内容を確認し、必要に応じて修正や追加情報の提供を行うことがあります。
まとめ
自動車整備工場は法人と取引を行う場合、信用調査を受けるべきです。信用調査を受けることで、相手企業からの信頼を得ることができ、新たな取引が生まれる可能性があります。
信用調査には社内調査、直接調査、外部調査、依頼調査という種類があります。その中でも信用調査を専門に行う会社に依頼する依頼調査は、調査を受ける側の企業も準備や情報提供といった対応が必要です。
信用調査を受けるべきかどうか迷っている、もしくは信用調査を受けるに当たって不明点がある場合はビズピットにご相談ください。初回相談は無料なので、ぜひご活用ください。