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車検のICカード化が自動車整備業車に与える影響。想定されている活用方法などをご紹介
           
昨今、さまざまな業界でIT技術の導入が盛んになっていますが、自動車整備業界もそのひとつです。

自動車継続検査(以下車検)の領域においてもそれは例外ではありません。整備業者・ユーザー双方の負担軽減を図るため、IT技術の導入によって車検証をICカード化し、車検の手続きフロー全体をワンストップサービス化することが政府主導で進められています(※1)。

本稿ではそんな車検のIT化について、実際の導入後の業務の変化などを交えて紹介しますので、大阪・兵庫の自動車整備業者の皆さまのお役に立てば幸いです。


目次
1 車検でもIT技術の導入による車検証のIC化・法改正が始まっている
2 車検証のICカード化による車両整備業への影響<
3 点検整備業務以外で車検証のICカード化で期待されること
4 車検証のICカード化後の申請手続き方法
5 車検へのIT技術導入は自動車整備業界全体に影響する

1.車検でもIT技術の導入による車検証のIC化・法改正が始まっている

前述の通り、車検証のICカード化は政府主導のもと進められ、有識者を招いた検討会が国土交通省(以下国交省)により2018年から開かれています(※2)。

この検討会は、主に「現状の車検証の利用状況と手続き形態」「車検証のICカード化によって期待される手続きフローの削減」について議論が進んでおり、その中で車検で行う、車両の点検整備業務へのIT技術導入についての議論もありました。

車検証のICカード化が進められるに当たって、道路運送法の改正案についても検討され、2019年に改正案が成立しています(※3)。道路運送法の改正の主な目的は自動運転普及のための法整備とされており、法案の中で車検証のIC化に伴った事業者への国からの委託制度の創設が決まりました。

2.車検証のICカード化による車両整備業への影響

整備


国交省が公開している資料(※4)によると、車検証をICカード化することによって恩恵を得られる可能性がある、車両整備業務に直接関わる分野としては次の通りです。

・車両情報を格納した利活用
・点検整備情報を格納した利活用

まず、車両情報の利活用に関してですが、「車両のモデル名」「取扱説明書」「車台番号の打刻位置」などをデジタル情報で保管し、車検での点検整備業務において活用することを指します。

これにより、従来では車両情報の確認や、自動車の中古車販売事業者からメーカーへの価格問い合わせにかかっていた時間を数秒で終わらせることもできるのではないでしょうか。

また、点検情報をデータとして車検証に格納することも、整備業者に恩恵をもたらします。すでに行われた点検情報を必要なタイミングで参照できれば、管理も容易になるため、車両一台ごとにかかる点検状態の確認時間を短縮できるなど、点検整備の効率化を図れるようになるのです。

自動車ユーザー・販売メーカー側にとっても、過去の整備履歴の管理・参照の簡略化は、点検整備業への理解促進・中古車の適切な査定につなげることが期待できます。

以上、車検時の整備業務へのIT技術導入事例は、車検だけでなく通常の自動車整備業界全体に置き換えることができます。例えば、車検証のIC化で車両の点検情報や顧客管理が容易になる可能性が考えられます。

3.点検整備業務以外で車検証のICカード化で期待されること

国交省公開の資料(※4)では、点検整備業務以外にも、車検証のICカード化の活用の可能性について検討されており、以下のような活用方法が挙げられていました。

・車検証に格納された保険情報の利活用
・車検証に格納されたポイント情報の利活用

上記の「車検証に格納された保険情報の利活用」に関してですが、政府はIC化した車検証に保険情報を記録し、車検証と自賠責保険証を一まとめに管理する構想を描いています。政府は、この制度実現のため、損保会社が顧客の保険情報を電子化するために使用するアプリ開発を計画しています。

もちろん、いきなり全ての自賠責保険証が電子化できる訳ではないため、当面は紙の保険証との併用が必要になるケースも多々発生するでしょうが、実現すれば自動車ユーザーの利便性の向上や自動車関連産業の業務効率化に繋がると言えるでしょう。

また「車検証に格納されたポイント情報の利活用」に関しては、政府はIC化した車検証を、車両に関連する事業者(ディーラー・ガソリンスタンド・JAF)の会員証や、会員向けポ イントカードシステムの代わりとして活用することを計画しています。

こちらも、前述の保険情報の利活用と同様に、ポイントシステムを活用する自動車関連事業者のためのアプリの開発が想定されていて、複数のポイントを一枚のカードで管理できるので、事業者側は新規会員を獲得しやすくなると言えるでしょう。

利用者側からしても、車検証は常に車に携行しているから紛失・財布への入れ忘れなどの心配も少なく、この試みが実現すれば、ポイント活用がより活発になると予想されます。

4.車検証のICカード化後の申請手続き方法

従来の車検手続きは、車検依頼をされた整備業者は運輸支局などにOSS(ワン・ストップ・サービス)申請をした後、新旧の車検証を交換するために出頭する必要があり、ユーザーへの車検の引き渡しも後日郵送するという、非常に手間のかかる物でした。

しかし、IT技術導入による車検証が電子化すれば、上記の手続きをその場でカード情報を読み込むだけで終わらせることが可能になり、整備業者は運支局などへの出頭の必要もなく、ユーザーも即日車検証を受け取ることができるようになるのです。

これは、整備事業者側にとっては顧客一人にかかっていた数日の手続き期間を1日にでき、紙の書類を送付・受理することに伴うヒューマンエラーを減らせるようになることも意味します。

なお、IC化された車検証には所有者の氏名・住所などが記録されることになるため、閲覧には何らかのセキュリティ対策を行うことが検討されています。

もしかしたら、前項でご説明した車検証にデジタルデータで記録された整備記録の閲覧についても、ある程度の制限がかかってくる可能性もあります。そのため、自動車整備業者にもよりいっそうのITリテラシーが求められるようになるかもしれませんので、業界団体主催の勉強会に参加したり、社外パートナーとの連携も検討する必要があります。

5.車検へのIT技術導入は自動車整備業界全体に影響する

車検手続きにIT技術が導入されれば、整備業務の効率化・各種手続きの時間短縮など、さまざまな恩恵を業者とユーザーにもたらす可能性がありますが、2020年9月現在では検討段階にあります。

本格的な車検証のICカード化については、2023年1月を目指して準備が進められている(※ 5)とのことでした。しかし、令和2年6月に公開された資料(※4)では、先のコロナウイルスの感染拡大を受けてより一層のデジタル化の推進が望ましいとの記述がありましたので、少しだけ時期が早まる可能性もあります。

弊社ビズピット株式会社は、変わりゆく情勢をいち早くキャッチし、自動車整備業者の皆さまをサポートできるように努めて参ります。ITツール導入に不安を抱かれている、整備業者さま・販売業者さまがいらっしゃいましたら、ぜひ弊社にお問い合わせください。



【引用】
※1
・国土交通省『自動車検査証の電子化に関する検討会』
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk6_000034.html(参照 2020-11-23)

※2
・国土交通省『自動車検査証の電子化に関する検討会 設置』
https://www.mlit.go.jp/common/001252349.pdf(参照 2020-11-23)

※3
・自動運転LAB『自動運転、幕開け期の2020年代に向けた法律改正の動きを解説』
https://jidounten-lab.com/u_autonomous-2020-law#20195(参照 2020-11-23)

※4
・国土交通省『自動車検査証の電子化に関する検討会 報告書』
https://www.mlit.go.jp/common/001349296.pdf(参照 2020-11-23)

※5
・esponse『車検証の電子化、2023年1月導入を想定 国交省が報告書をとりまとめ』
https://response.jp/article/2020/06/22/335811.html(参照 2020-11-23) 

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