車両整備業者のカーボンニュートラルへの心構え

整備事業者は、来るべきカーボンニュートラル社会を見据えた準備をどのように進めればいいのでしょうか?この記事では、整備事業者が進めるべき具体的な取り組みや、活用できる助成金を紹介します。整備事業者の方は参考にしてください。

目次
1 自動車産業におけるカーボンニュートラル、整備事業者はどのように対応すべきか
 1-1 カーボンニュートラルとは?
 1-2 脱炭素社会に向けた「国土交通グリーンチャレンジ」
2 レンタカーやシェアカー増加への対応
 2-1 電気自動車を起点としたインフラの構築
 2-2 レンタカーやシェアカー増加に対する対応
 2-3 次世代の整備業務への対応
 2-4 整備事業そのもののグリーン化や新しい都市モデルへの対応した事業場作り
3 カーボンニュートラルにまつわる助成金と活用方法
 3-1 クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金
 3-2 電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金
 3-3 燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備事業費補助金
 3-4 全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置
4 まとめ

自動車産業におけるカーボンニュートラル、整備事業者はどのように対応すべきか

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは脱炭素社会という意味で、実質的な二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量をゼロにするという取り組みです。つまり、排出される温室効果ガスと、森林などに吸収される量を差し引いた数値でゼロを目指します。2020年10月の臨時国会において「2050年までに脱炭素社会の実現を目指す」と宣言され、政府としても本格的に実現に向けての取り組みが開始されました。また、脱炭素の取組や企業の脱炭素促進を図るための「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」も2021年5月に決定しています。

脱炭素社会に向けた「国土交通グリーンチャレンジ」

カーボンニュートラルに関して、車両整備業界に関連するものとして、「国土交通グリーンチャレンジ」が挙げられます。「国土交通グリーンチャレンジ」では、2030年までに重点的に取り組むプロジェクトとして、以下の6つが計画されているということです。

 1.省エネ・再エネ拡大等につながるスマートで強靱なくらしとまちづくり
 2.グリーンインフラを活用した自然共生地域づくり
 3.自動車の電動化に対応した交通・物流・インフラシステムの構築
 4.デジタルとグリーンによる持続可能な交通・物流サービスの展開
 5.港湾・海事分野におけるカーボンニュートラルの実現,グリーン化の推進
 6.インフラのライフサイクル全体でのカーボンニュートラル循環型社会の実現

この6つのプロジェクトのうち、自動車業界に直接関わりがあるものとしては、3「自動車の電動化に対応した交通・物流・インフラシステムの構築」が挙げられます。特に整備事業者の対応としては、「電気自動車を起点としたインフラの構築」が必要となることが考えられます。

レンタカーやシェアカー増加への対応

電気自動車を起点としたインフラの構築

今後、カーボンニュートラルが進行するに伴い、電気自動車への需要は高まることが予測されます。それに対応するため、自動車整備業界では、充電スポットの充実や電気自動車の整備への対応が必要となってくるでしょう。ビッグデータも活用した、道路交通流対策やMaaSの社会実装促進も予想されるため、そのようなニーズにも対応できる技術や人材の体制を整える必要もあります。

レンタカーやシェアカー増加に対する対応

カーボンニュートラルでは、電気自動車の普及が予測されています。それと同時に、マイカーを持たずレンタカーやシェアカーを利用する人が増加し、マイカーの整備業務の需要が減少する可能性が高くなります。そのような需要の減少に対応するため、レンタカーやシェアカー事業者との連携も必要となるでしょう。

次世代の整備業務への対応

整備事業者としては、早い段階から、次世代自動車を整備できる整備士の確保や教育環境の構築を始めておくといいでしょう。そのためには、同業者との連携、業界を超えた情報収集、技能実習制度の活用等も視野に入れておく必要があります。

また、次世代自動車を整備するためのスキャンツールや駆動用バッテリー交換装置などの購入・導入も必要となる可能性が高いため、整備場の配置や予算などを計画しておきましょう。
カーボンニュートラルに限らず、今後IT技術の進化に伴い、インフラ構築やICTを活用したデータ管理が行われ、車検証のIC化や継続検査OSSの普及促進が図られることが考えられます。ITに関する準備も必要です。

整備事業そのもののグリーン化や新しい都市モデルへの対応した事業場作り

カーボンニュートラル化に向けて、整備事業場のグリーン化や、リサイクル部品の利用促進も図られことが考えられます。自然、再生エネルギーを活用した整備事業場モデルや、リサイクル部品などに関する情報収集も行っていく必要があるでしょう。

カーボンニュートラルを実現するため、より効率的な経営が求められるようになれば、他業種との連携も必要となることも考えられます。

カーボンニュートラルにまつわる助成金と活用方法

車両整備事業者としてカーボンニュートラルを実現するためには、予算も必要となります。国や自治体には様々な助成金があるため、自社で活用できるものはないか検討してみることをおすすめします。

クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金

次世代自動車はCO2排出量が少ないクリーンな自動車としてだけでなく、災害による停電等の発生時において動く蓄電池として搭載された蓄電池・燃料電池を活用した電力供給が可能であり、災害時の電源対策としての活用も広がっています。しかし、未だ導入初期段階であり、ガソリン車と比べるとコスト高が課題となっています。クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金は、クリーンエネルギー自動車を普及させるため車両購入時の負担軽減を行うための補助金です。これにより次世代自動車及び災害時にも電力を供給可能な外部給電器、EV・PHVへの充電ならびにEV・PHVから施設へ放電(給電)ができる装置であるV2H充放電設備への導入を支援します。

対象は、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車といったクリーンエネルギー自動車だけでなく、外部給電器、V2H充放電設備も含まれます。

この補助金は、購入する自動車や条件に応じて最大80万円となっています。レンタカー事業も行っているのであれば、クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金を車両の購入に活用できます。導入したクリーンエネルギー車を整備することで、エネルギー車の整備経験を積むことも可能です。

電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)の普及を通じて、運輸部門におけるCO2の排出抑制や石油依存度の低減を図るため、普及に不可欠な充電インフラの整備を促進するための補助金です。

対象は、充電設備の設置となっています。

補助額は導入する充電インフラの設備によって異なります。例えばDNC321K充電設備の場合は機器代金が17万円に対し補助額が8.5万円、DNC3000K充電設備は機器代金が30万円に対し補助額が10万円となっています。この他、地方自治体によっては独自の補助金がある場合もあるので、確認しましょう。

電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金は、充電設備の導入を考えているなら、ぜひ活用したい補助金です。

燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備事業費補助金

燃料電池自動車に水素を供給する設備の整備を進めることにより、燃料電池自動車の普及による早期の自立的な市場を確立し、内外の経済的社会的環境に応じた安定的かつ適切なエネルギー需給構造を構築するための補助金です。

補助対象設備に係る設備整備費、新規需要創出活動に係る経費が対象となっています。

金額に関しては、事業終了後事業者より提出する実績報告書に基づき必要に応じて現地調査を行い支払額を確定すると発表されています。

燃料電池車に関する新規事業を検討するなら、活用を検討しましょう。

全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置

その他にも、地方自治体による車両(EV・PHV・FCV等)ならびに充電設備・水素ステーション等への、補助制度・融資制度・税制特例措置があります。

該当する地方自治体の制度を確認してください。

まとめ

このように、カーボンニュートラルは自動車産業、自動車整備業者とは切っても切れない重要な課題となっています。整備事業者として取り組むためにはコストのかかるものもありますが、うまく助成金を活用しましょう。

また、レンタカーの事業も行っているのであれば、クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金を活用して購入し、クリーンエネルギー車の整備経験を積むといいでしょう。充電設備だけの設置なら電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金、燃料電池車に関する新規事業を検討するなら燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備事業費補助金も検討することができます。その他、補助制度・融資制度・税制特例措置も確認し、活用していきましょう。

今後を見据えて早めの対策をすることが重要です。大阪・兵庫を中心に車両販売などを行うビズピットは、各種助成金の申請サポートの経験があります。カーボンニュートラルを実現するため、整備事業者としてどのように事業展開をしていくべきかといったビジネスモデルの構築支援から、どのような補助金が活用できるかといったアドバイス、実際の補助金申請サポートまで、幅広く対応してまいります。ぜひ、ビズピットへご相談ください。



【引用】
・国土交通省 「国土交通グリーンチャレンジ」をとりまとめました!
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo10_hh_000252.html

・クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金
http://www.cev-pc.or.jp/#no01

・電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金
http://www.cev-pc.or.jp/#no02

・燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備事業費補助金
http://www.cev-pc.or.jp/#no03

・全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置
http://www.cev-pc.or.jp/local_supports/hokkaido.html#area

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